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古レール JR 東日本山田線【松草駅】

開業当時は終着駅だった駅の古レール。

2009/12/22 公開。

概要

JR 東日本山田線松草駅の開業は 1930 (昭和 5) 年 10 月 31 日であり、本報告書執筆時点で約 80 年の歴史を持つ駅である。開業は山田線そのものが盛岡から当駅まで延伸したことに伴ったものであった。開業当時の賑わいは知る由もないが、険しい地形を克服し徐々に延伸してきた鉄道の到来を喜ばなかったはずはなかったであろう。

その後の山田線のさらなる延伸により途中駅となったが、国鉄末期までは相対式ホームを備えた交換可能駅であった。しかし現在はいわゆる棒線駅である。現在でもかつての相対式ホームだった頃の痕跡が残されておリ当時を偲ぶことができるが、そのような過去の痕跡については別途報告することとし、本報告書では古レールに特化して報告させて頂く。

山田線のうち私が何度か訪れた(勝手にホームグラウンドだとも思っている)盛岡~宮古間はそもそも駅での古レールの利用をあまり見かけない区間である。というのもそもそも現在では多くの駅が無人化され駅舎も簡便な待合室に建て替えられておリ、またそのような駅ではホーム上屋も存在しない場合が多いからである。さらに今回取り上げる松草駅のように棒線駅となった駅の場合は当然のことながら跨線橋も存在しないため、駅での二大古レール構造物と言えるホーム上屋及び跨線橋の両方が存在しない場合が多くなってしまうからである。

そして同駅では少々珍しいパターンであるが、駅前通路に古レールが使用されている。なお、本報告書は以下の総合調査の調査対象である。

調査日:2007/09/27

調査結果

架構

前述の通り同駅では駅舎はなく簡便な待合室が存在するのみである。古レールはは画面右側の階段を覆っている部分に使用されている。本報告書ではこれを『駅前通路』と表現させて頂く。

ちなみに、この駅前通路は駅のあるちょっとした高台から下の道路(岩手県道 170 号松草停車場線)へ降りるためのものである。

JR 東日本山田線【松草駅】古レール全景

同通路を間近で見ると、柱の基礎の作りからしてこの古レールの覆いは階段と同時に設置されたものではなく、後年の後付けと推測される。恐らくは積雪対策ではないだろうか。

JR 東日本山田線【松草駅】古レール架構

県道側より望む。何というか迫り来るものを感じるが、恐らくは柱が鉛直ではなく階段の傾斜に対して直角であることが原因であろう。このような作りからしても、後年の後付けの可能性が高いと思われる。

ちなみに、この県道はかつての国道 106 号そのものであり、盛岡と宮古を結ぶ二大動脈が通り抜ける場所であった。当時はきっと賑わっていたことだろう。現在県道指定区間は写真では画面手前の国道との分岐点からこの通路の前までであり、それより奥(盛岡側)は県道ではない。なぜなら『停車場線』だからである。

JR 東日本山田線【松草駅】古レール全景

刻印

今回発見した刻印は以下の通り。そこそこの量の古レールが使用されているが、意外にも刻印はたった二箇所のみの発見であり、それも同一のものであった。また使用されている古レールも比較的近年のものでありやはり後年の設置を裏付けるものであろう。

No 刻印 場所 備考
1 30AS <S> 1955 IIIIIIIIIIII ホーム下部 30kg / m、アメリカ土木学会規格、富士製鉄 1955 年 12 月製造

No.1

JR 東日本山田線【松草駅】古レール刻印

総評

同駅は今でこそ山あいの静かな無人駅であるが、かつては貨物の取り扱いもあった。廃止は 1972 (昭和 47) 年である。これは今後の課題であるが扱っていた貨物は何だったのだろうか。とっさに思いつくのは木材や農産物だが、例えば付近で産出する鉱物資源でもあったのだろうか。

また、本報告書では階段が先に存在し後から古レールによる覆いができたと勝手に推測しているが、そもそも階段もろとも後年の設置の可能性もある。三枚目の写真を眺めているとそのような気もしてくる。

冒頭でも述べた通り、これらの過去の痕跡や歴史については分かり次第(分からないままかも知れないが)別途報告させて頂きたい。

なお、山田線の前面展望動画は共同撮影者の管理する以下のページにて公開しているので、あわせてご覧頂きたい。松草駅の雰囲気も感じて頂ければ幸いである。

同線では全区間ではないものの、前面展望動画を撮影している。共同撮影者のサイトにて公開しているのでご覧頂きたい。

参考文献等


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