まさに風前の灯。
2009/06/28 動画コンテンツを追加しました。
2008/07/30 公開。
田町駅。現在は京浜東北線と山手線の駅であるが、例によって正式な所属線は東海道本線であり、1909 (明治 42) 年開業の歴史ある駅である。
そして何気に現在私の(雇われている)会社の最寄駅である。と言っても私は職業柄あまり自社に出社しないのでほとんどノーチェックの駅であった。
幾多の改良工事を受けた同駅には、もはや古レールは存在しないのではと思いつつ改めて調査を実施したところ、そこにはまさに『風前の灯』という言葉を思い出させるような、ほんのわずか 1 スパンにも満たないとはいえ残っていたのである。
だが、逆にいえばこれだけの駅改良工事を経てなお残っているということは今後当分は存在し続けることができると期待したい。
調査日:2008/01/04、2008/05/18
これが『風前の灯』である。今回はこれが同駅での古レール構造物の全てである(と思われる)。
逆側から見る。柱の部分はこれ以上ないくらいシンプルな一本立ちである。また梁の部分もこれまたシンプルで無駄のない形態である。
今回発見した刻印は以下の通り。同駅での古レールへの塗装も比較的厚く、刻印の判断は困難を伴うタイプである。
No | 刻印 | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | (S) 60 A 1919 X | ホーム上屋 | 60LbS / yd、官営八幡製鉄 1919 年 10 月製造 |
2 | (S) 60 A 1925 IIIIIIIIIIII | ホーム上屋 | 60LbS / yd、官営八幡製鉄 1925 年 12 月製造 |
かつては同駅のホームも古レールがずらりと並ぶ壮観な眺めだったのであろう。しかし、たったこれだけとは言えよくぞ残ったものである。あまりこのような改修の考え方に知見がある訳ではないが、架構としてはこの古レール部分は失われていても不思議ではないと思う。
工事担当者のこだわりだったのだろうか。それとも何か別の理由があるのであろうか。
また、同駅を含めた区間の前面展望動画を京浜東北線南行電車より共同撮影者と共に撮影したのであわせてご覧頂きたい。